瘀血ってなに?
「瘀血」(おけつ)とは、東洋医学や伝統的な中国医学の概念の一つです。
血液の滞留や凝結に関連する病態のことを言います。
瘀血は血液の正常な循環に障害を起こし、異常な血液の凝固や滞留が生じる状態を指します。
瘀血の症状って?
〈血液の滞留〉
瘀血の主要な特徴の一つは、血液の滞留です。
通常、血液は正常に循環し、体内の組織に酸素と栄養を供給しますが、瘀血がある場合、血液が滞留して正常な流れを妨げます。
これは、組織や器官に十分な酸素や栄養が供給されない原因となります。
〈血液の凝結〉
瘀血は、血液の凝結が異常に起こる状態を指します。
血液の凝結は、血栓や血管内で血液がドロドロとして流れにくくなることを指します。
〈痛みや腫れ〉
瘀血がある部位では、通常、痛みや腫れが生じます。
血液の滞留や凝結が組織に圧迫をかけ、炎症反応や痛みが引き起こされます。
この痛みは鈍痛や重苦痛として感じられることがあります。
〈色素沈着〉
瘀血の部位にはしばしば青紫色の色素沈着が見られ、あざや斑点のような外観を示します。
これは血液が滞留した結果として生じます。
〈脈の異常〉
東洋医学では、瘀血の存在は脈の異常を示すことがあります。
脈診において、脈が遅くて弱い、または過度に強いなどの異常が観察されることがあります。
婦人科領域の瘀血って?
婦人科領域での瘀血は、瘀血の症状が女性の生殖器系に関連して発生して起こる症状です。
これらの症状は血液の滞留や凝結によるものであり、瘀血を解消し、正常な血液循環を取り戻すための治療法が必要となります。
【月経不順】
瘀血が子宮内に滞留することで、月経周期に不規則性が生じることがあります。
月経過多(過剰な出血)、月経過少、無月経(無月経症)、月経痛の増悪などが含まれます。
【月経痛】
瘀血が子宮内に蓄積すると、月経時に痛みが増すことがあります。
この痛みは鈍痛から激しい痙攣痛までさまざまで、通常、経絡や経絡に関連した痛みとされます。
【血塊の排出】
瘀血が子宮内に蓄積すると、月経時に大きな血塊が排出されることがあります。
これは瘀血が凝結して塊となる結果です。
【不妊症】
瘀血が子宮内に存在する場合、受精卵の着床が困難になることがあるため、不妊症の原因とされることがあります。
【子宮筋腫】
瘀血が長期間子宮内に存在すると、子宮筋腫の発生リスクが増すとされています。
【その他の症状】
瘀血に関連する他の婦人科症状には、性交痛、子宮内膜症(子宮内膜が子宮外に生育する病態)、卵巣嚢腫、子宮内腔のポリープなどが含まれることがあります。
当院での瘀血に対する鍼灸治療
血行促進と滞留血の分散
瘀血の解消と正常な血液循環の回復が重要です。鍼灸治療で経絡やツボに鍼を刺すことで、血行を促進し、滞留血を分散させる効果があります。
これにより、組織への酸素供給が改善され、瘀血の解消が促進されます。
肝や脾経脈、太陽膀胱経などの経絡に関連するツボが使用されることがあります。
血のバランスの調整
東洋医学では、体内のエネルギー(気)と血液は相互に関連しており、バランスが重要です。
瘀血に対する鍼灸治療では、気と血のバランスを調整し、体内の調和を取り戻すことが大事になります。
陰陽の調和
東洋医学では、陰と陽のバランスも重要視されます。
肝臓は陽の臓器とされ、瘀血によって陽の過剰が生じることがあります。
治療では、陰陽のバランスを取り戻すためのツボやアプローチが選択されます。
婦人科症状の治療
瘀血が婦人科症状に関連している場合、具体的な婦人科のツボや経絡に焦点を当てることがあります。
例えば…
・月経不順の緩和: 月経不順や月経過多に、鍼灸刺激で月経周期を正常化し、血液の流れを調整することが目標です。
・月経痛の緩和: 月経痛を和らげるために、痛みに対応する鍼灸刺激により、子宮の収縮が調整され、月経痛が軽減されます。
・血塊の排除: 瘀血による血塊が排出されるのを助けるため、子宮の収縮力を調整し、排血を促進する鍼灸刺激をします。
・子宮内膜症の管理: 子宮内膜症は子宮内に組織が異常に成長する症状で、瘀血と関連し鍼灸治療は症状の管理と疼痛の軽減を目指します。
・不妊症の治療: 瘀血が不妊症の原因となることがあるため、鍼灸治療は不妊症の患者に対しても血行促進や子宮の状態改善が目指します。