変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、膝の関節軟骨が摩耗し、膝の関節が変形して痛みや機能障害を引き起こす慢性的な疾患です。関節軟骨は、骨同士が摩擦するのを防ぎ、円滑な動きを保つ役割を果たしています。しかし、加齢や遺伝的要因、関節への負荷、怪我などが影響して軟骨が劣化し、関節の変形や炎症が進行することがあります。
この病態が進むと、膝の痛みやこわばり、関節可動域の制限、歩行や日常生活の制約が生じることがあります。早期に発見し、適切な治療や管理を行うことで、症状の進行を遅らせたり、痛みを軽減したりすることができます。
治療法には運動療法、薬物療法、物理療法、手術などが含まれることがあります。医師の指導を受けながら、適切なアプローチを選ぶことが大切です。
変形性膝関節症の症状
変形性膝関節症の主な症状には、次のようなものがあります。
【膝の痛み】
軽度から激しい痛みが膝に生じることがあり、特に活動後や長時間の立ち仕事後に痛みが増すことがあります。
【腫れ】
膝周辺に軽度な腫れが生じることがあります。
【関節可動域の制限】
膝の可動域が制限され、膝を完全に伸ばすことが難しくなることがあります。
【こわばり】
特に朝起きた時や長時間座っていた後に、膝がこわばることがあります。
【階段の昇降困難】
階段の昇降が難しくなり、特に下りの際に痛みを感じることがあります。
【歩行困難】
歩行中に不快な感じや痛みが生じ、歩くことが難しくなることがあります。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症の主な原因は、以下の要因が関与しています。
年齢
加齢によって関節軟骨は自然な摩耗を経験し、劣化していく傾向があります。
遺伝的要因
遺伝的な素因が変形性膝関節症のリスクを高めることがあります。
過度な負荷
長期間の過度な負荷や重い物の持ち運び、過度のスポーツ活動などが関節に負担をかけ、軟骨の劣化を促進することがあります。
怪我や外傷
関節に怪我をしたり、外傷を受けたりすることで、軟骨が損傷して変形性膝関節症のリスクが高まることがあります。
過体重
過体重や肥満は関節に余分な負荷をかけ、軟骨の摩耗を促進する要因となることがあります。
これらの要因が組み合わさることで、膝の関節軟骨が劣化し、関節の変形や症状が進行する可能性があります。予防や管理のためには、適切な体重管理や健康的な生活習慣の維持が重要です。
変形性膝関節症の治療法
変形性膝関節症の治療法には、以下のような方法があります。
【運動療法】
運動療法は筋力を強化し、関節の安定性を向上させるために役立ちます。医師や理学療法士の指導の下で、適切なエクササイズを行うことが重要です。
【薬物療法】
鎮痛薬や非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）などが痛みの軽減や炎症の抑制に使用されることがあります。
【物理療法】
物理療法は関節の可動域を改善し、筋力を強化するために行われます。熱湯温浴、エレクトロセラピー、マッサージなどが含まれます。
【支援具の使用】
杖や歩行器などの支援具を使用することで、関節への負担を軽減し、痛みを軽減することができます。
【注射療法】ヒアルロン酸の注射やステロイドの局所注射などが炎症を抑え、痛みを緩和するために行われることがあります。
【外科手術】
重度の症状や機能障害がある場合、人工関節置換術（膝関節置換手術）が検討されることがあります。これにより、関節の痛みや機能障害を改善することが可能です。
変形性膝関節症と鍼灸
痛みの軽減
鍼灸による刺激が神経系に影響を与え、痛みの伝達を緩和することがあります。一時的な痛みの軽減や炎症の抑制が期待されます。
炎症の抑制
鍼灸が免疫系の調節に影響を与える可能性があり、関節内の炎症を軽減する助けになることがあります。
血流の促進
鍼灸による刺激が血流を促進し、栄養分や酸素の供給を改善することで、軟骨の健康維持に役立つ可能性があります。
筋肉の緊張緩和
鍼灸による刺激が筋肉の緊張を緩和し、関節の安定性を向上させることがあります。
変形性膝関節症と関連するツボ
変形性膝関節症を緩和するために鍼灸に用いられるツボ（経絡）の一部を紹介します。
【陽陵泉（ようりょうせん）】
膝の前に位置するツボで、膝の痛みやこわばりを緩和する効果が期待されています。
【膝眼（しつがん）】
膝の外側に位置し、膝関節の痛みや腫れを緩和するために刺激されることがあります。
【関元（かんげん）】
へその下に位置し、関節の運動制限や痛みを軽減する効果が期待されます。
【曲池（きょくち）】
膝の後ろに位置し、膝の痛みやこわばりを改善するために刺激されることがあります。
【陽陵穴（ようりょうけつ）】
膝関節に近い内側に位置するツボで、膝の痛みや運動制限の緩和に寄与するとされています。
