月経前症候群＝PMS（Premenstrual Syndrome）

PMS（月経前症候群）とは、女性が月経周期の一週間から10日前後に起こる身体的および精神的な症状のことです。
この症状は、月経が始まると緩和する傾向にある方が多いです。
PMSは個人差があり、女性によって経験する症状やその強さは異なります。

PMSってどうしてなるの？

【ホルモンの変動】
PMSの症状は、月経周期中に女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの変動に関連して現れると考えられています。
特に、月経周期の後半にエストロゲンとプロゲステロンの濃度が低下する際に、症状が出現することが多いとされています。

【セロトニンの影響】
セロトニンは脳内での神経伝達物質で、気分の調整や睡眠などに関与しています。
一部の研究では、PMSの女性においてセロトニンの変動が関連している可能性が示唆されています。
セロトニンのバランスの乱れが、PMSのうつ症状や不安症状を引き起こすと考えられています。

【炎症反応】
一部の研究では、PMSの症状が体内の炎症反応と関連している可能性が提唱されています。
炎症が身体の調子や免疫応答に影響を与え、症状の出現に寄与する可能性があります。

【遺伝的要因】
PMSの発症には遺伝的要因も関与している可能性があります。
家族内でPMSの症状が共通することがあるため、遺伝的な傾向が影響している可能性が考えられています。

【生活習慣やストレス】
不規則な食事、睡眠不足、過度なストレスなどの生活習慣がPMSの症状を悪化させることがあるとされています。
ストレスがホルモンバランスや神経伝達物質に影響を及ぼし、症状を引き起こす可能性があります。

これらの要因が複合的に絡み合って、PMSの症状が引き起こされると考えられています。ただし、PMSの病態は個人差があり、明確な原因を特定するのは難しい場合があります。医療専門家の指導を受けながら、症状の軽減や管理に向けた適切なアプローチを検討することが重要です

PMSの症状

【身体的症状】　　　　　　　　　【精神的症状】
・乳房の腫れや痛み　　　　　　・怒りやイライラ感
・腹部の膨張感や痛み　　　　　・不安や落ち込み
・頭痛や偏頭痛　　　　　　　　・集中力の低下
・腰痛　　　　　　　　　　　　・疲労感や倦怠感
・体重増加やむくみ　　　　　　・過食や食欲の変化

これらの症状は、女性ホルモンの変動によって引き起こされると考えられています。
特に、月経周期中にエストロゲンとプロゲステロンの濃度が変動することで、脳内の神経伝達物質や体の調整メカニズムに影響を及ぼす可能性が考えられます。

PMSの治療法

【ライフスタイルの変更】
・健康的な食事: バランスの取れた食事
・運動: 適度な運動は身体の調子を整え、ストレスの軽減
・睡眠: 良質な睡眠の確保
・ストレス管理: リラクゼーション法や瞑想などのストレス管理テクニックを取り入れる
【食事サプリメント】
・カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが症状緩和効果があるとされます
【薬物療法】
・鎮痛剤: 腹痛や頭痛の症状に対して
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬: PMSのうつや不安症状を軽減するために使用することがあります
・ホルモン療法: エストロゲンやプロゲステロンの補充療法が症状を緩和することがありますが、副作用やリスクに注意する必要があります。
【カウンセリングや心理療法】
・ストレス管理技術の学習や認知行動療法を通じて、症状のコントロール方法を学ぶ

PMSの東洋医学的な診かた

東洋医学では、PMS（月経前症候群）は体内のエネルギーの流れやバランス、臓器間の関連性に注目して症状を診ていきます。
PMSの症状は主に女性の生殖系統の健康やエネルギーの流れの乱れに影響され起こると考えられます。
東洋医学的アプローチでは、個々の患者の体質や症状を総合的に評価し、体内のエネルギーのバランスを調整することが重要です。
漢方、鍼灸、食事療法、ストレス管理、運動などがあり、それぞれの患者に合った治療法を選択します。

血とエネルギーの乱れ

東洋医学では「血」と「気」（エネルギー）が体内を流れる重要な要素とされています。
PMSでは、血や気の流れが滞ることで、身体のバランスが崩れ、症状が現れると考えられています。

肝の乱れ

肝は東洋医学で情緒やストレスと関連付けられており、肝のエネルギーが滞るとイライラや怒り、不安などの精神的症状が現れます。

脾と腎の健康

脾や腎も女性の生殖系統に影響を与えるとされています。
これらの臓器の機能が弱まると、体内のエネルギーが低下し、疲労感やむくみなどの症状が生じる可能性があります。

気の不足

東洋医学では、体内の気が不足することで疲れやすさ、集中力の低下、不眠などの症状が生じるとされています。

PMSの症状を和らげるための鍼灸

鍼灸治療は、PMS（月経前症候群）の症状を緩和するために人によっては効果的なアプローチとされています。
鍼灸は東洋医学の一環であり、体内のエネルギー（気や血）の流れを調整し、身体のバランスを整えることで自律神経を整えて、それがホルモンバランスの調整にも繋がります。

ストレス緩和

鍼灸は神経系に影響を及ぼすため、ストレスの軽減に寄与します。
PMSの症状はストレスと関連していることがあるため、鍼灸による自律神経の調整やリラクゼーション、ストレス緩和効果が症状の軽減につながります。

ホルモンバランスの調整

鍼灸は体内のエネルギーの流れを調整する効果があり、自律神経を整え、ホルモンバランスにも影響を及ぼします。
PMSの症状はホルモンの変動と関連しているため、鍼灸によるバランスの調整が症状の緩和に効果が期待できます。

炎症の軽減

鍼灸は血流を促進し、炎症を軽減する効果があるとされています。
一部の研究では、PMSの症状が炎症反応と関連している可能性があるため、鍼灸による血流改善が症状の緩和に寄与とも言われます。

筋肉の緊張緩和

PMSの症状には筋肉の緊張や痛みが含まれることがあります。
鍼灸は筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果があります。