耳鳴りってどうして起きるの?
耳鳴りは、耳に音がないのに耳内や頭の中で音が聞こえる症状のことを指します。
これは様々な原因によって引き起こされる可能性があります。
例えば…
耳の問題
耳鳴りは、耳の内部にある鼓膜や中耳、内耳、または耳の神経に何らかの問題が生じたときに発生することがあります。
例えば、耳の感染症、耳管の閉塞、耳石症、内耳障害、耳鳴り性難聴などがあります。
騒音暴露
長期間にわたる騒音にさらされることで耳鳴りが引き起こされることがあります。
特に高音の騒音や職業上の騒音暴露が原因となることがあります。
ストレスや不安
精神的な要因が耳鳴りに影響するメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、いくつかの理論が提唱されています。
【脳の信号処理】
耳鳴りは実際の音がなくても、脳が何らかの音を認識することによって発生します。
ストレスや不安といった精神的な要因が、脳の音の処理に影響を与えることで耳鳴りを引き起こす可能性があります。
【自律神経の影響】
ストレスや不安は自律神経に影響を与えることがあります。
自律神経は、心拍数、血圧、消化、呼吸などの自動的な機能を調節する神経系です。
自律神経のバランスが崩れることで、耳の内部の血流や圧力に変化が生じ、耳鳴りを引き起こす可能性があります。
【過度の集中】
ストレスや不安によって過度に集中し、常に耳鳴りに意識が向けられる状態になることがあります。
これによって耳鳴りが増強される可能性があります。
【睡眠障害】
ストレスや不安は睡眠に影響を与えることがあります。
睡眠不足や睡眠の質の低下は、耳鳴りを悪化させる可能性があります。
一般的に、精神的な要因によって引き起こされる耳鳴りは「神経性耳鳴り」と呼ばれることがあります。
精神的な要因が原因となる耳鳴りは、物理的な耳の問題よりも治療が難しい場合があるので、心理的なアプローチが、耳鳴りの緩和に役立つことがあるので鍼灸による効果も特に期待できます。
血流の変化
血液の流れが異常になることで耳鳴りが起こることがあります。
血流が耳鳴りに影響する主なメカニズムは、内耳や聴神経に対する血液供給の変化によるものと考えられています。
内耳は聴覚を司る非常に重要な器官であり、内耳の正常な機能には適切な血液供給が必要です。
血流の変化が内耳に影響を及ぼすことで、耳鳴りが引き起こされる可能性があるとされています。
【血管の収縮と拡張】
血液は血管を通じて体内を循環します。
特に小さな血管(毛細血管)の収縮や拡張の変化が、内耳の血流に影響を及ぼすことがあります。
この変化が内耳に不適切な血液供給をもたらし、耳鳴りを引き起こす可能性があります。
【血管の狭窄】
動脈硬化や高血圧などの疾患が血管を狭くすることで、内耳への血流が減少します。
これにより、内耳の細胞に十分な酸素や栄養が供給されず、耳鳴りが生じる可能性があります。
【血管の圧迫】
血管性の腫瘍や脈管腫などの他に、首肩周りの筋緊張が、内耳や聴神経に圧迫をかけることがあります。
これによって血流が制限され、耳鳴りが起こることがあります。
血管性耳鳴りは、血流の問題に起因しているため、一般的には様々な要因が関与しています。高血圧、動脈硬化、ストレス、睡眠不足、脳や心臓の疾患などが、血管性耳鳴りの原因となることがあります。
ただし、耳鳴りの原因は一つだけではなく、複数の要因が組み合わさっていることもあります。
薬物副作用
一部の薬物は耳鳴りを引き起こすことがあります。
例えば、抗生物質、鎮痛剤、抗うつ薬などがあります。
東洋医学的に診る耳鳴りとは?
東洋医学の視点では、耳鳴りは体内のエネルギーのバランスや臓器の調和に問題があることを示唆しています。
東洋医学では個々の体質や状態に基づいて治療が行われます。
治療法としては、漢方薬の処方、鍼灸、耳つぼ療法、気功法、食事療法、ストレスマネジメントなどが使用されることがあります。
腎気虚(じんききょ)
腎は東洋医学において重要な臓器であり、体の基本的なエネルギー源である「腎気」が不足すると耳鳴りが発生するといわれます。
肝火上昇(かんかじょうしょう)
肝は感情やストレスを制御する臓器であり、「肝火」と呼ばれるエネルギーが過剰になると耳鳴りが起こるといわれています。
血虚(けつきょ)
血は身体を栄養する重要な要素であり、血の量や質が不足すると耳鳴りが発生するといわれています。
湿邪(しつじゃ)
湿気の邪気が体内に溜まると、耳鳴りを含むさまざまな不快な症状が引き起こされます。
耳経絡の異常
東洋医学では耳には全身の経絡(気や血液が流れる経路)が通っており、経絡の異常が耳鳴りに影響を与えるとされます。
耳鳴りに対する当院での鍼灸治療
当院の耳鳴りに対する治療は‥
まず第一に鍼灸治療により全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えることです。
鍼灸治療は、交感神経を抑制し副交感神経の働きを促すばかりでなく、双方の神経の活動量を高めて自律神経のバランスを整えることが研究結果でも出ています。
また、内耳の血流不足を改善するという点から頸肩部周辺や耳周辺の経穴に鍼をして電気を流します。
耳周辺の治療穴として「翳風」「耳門」「聴会」「聴宮」などの経穴のほか、状態に合わせて首や頭の経穴を決めます。これは当院独自の治療選穴により高い治療効果が出ています。
また過度な身体的・精神的ストレスは、自律神経を乱して耳鳴りの原因となります。
さらに耳鳴りがストレスとなり、睡眠障害やうつ病などにかかりかねません。
そこで当院では、東洋医学の特徴である全身を診て治療することにより全身をリラックス状態へと導き、交感神経の過亢進を抑制して過度なストレスを和らげます。
また身体全体の調子が上がっていくことも期待でき、実際に当院でも耳鳴りの治療で「目が疲れなくなった」「便秘が解消した」「ゆっくりと体が休められ、熟睡できた」などといった声が数多く聞かれます。
東洋医学では局所的に診るのではなく、全身的に診ることで自然治癒力を高めるといわれ、様々な効果が期待できます。
経絡の調整
耳鳴りには経絡の不調が関与しているとされることがあります。
例えば、めまいは東洋医学的に診ると「腎」の不調が原因で発症すると考えられているので、鍼灸治療を用いて経穴を刺激することで「腎」の機能を活性化させます。
鍼灸によって経絡の流れを調整し、気血の滞りを解消することが症状緩和に繋がります。
自律神経の調整
耳鳴りは自律神経のバランスの乱れによって悪化することがあります。
鍼灸は自律神経の調整に効果があるため、耳鳴りの緩和を図ることが期待できます。
湿邪の排除
湿邪は東洋医学において不要な邪気とされ、耳鳴りの原因になるとされることがあります。
鍼灸によって湿邪を排除し、症状の改善を図ることができます。
身体全体の調整
耳鳴りは体全体のエネルギーのバランスが崩れることが原因になることがあります。
全身の調和を図るために、鍼灸治療が有効となります。