緊張型頭痛と片頭痛
「頭が締め付けられるように重い」
「ズキズキと脈打つような痛みで動けない」
頭痛は多くの人が経験する悩みですが、実はその原因によって対処法が正反対になることをご存知でしょうか?
代表的な頭痛には、肩こりやストレスからくる「緊張型頭痛」と、血管の拡張などが関わる「片頭痛(偏頭痛)」があります。
この2つは痛みの性質が異なるため、間違ったセルフケアをすると逆効果になることも。
【セルフチェック☝️】あなたの頭痛はどっちのタイプ?
痛みの種類
・緊張型頭痛: 頭をギューッと締め付けられるような、重苦しい痛み。
・片頭痛: ズキズキ、ガンガンと心臓の拍動に合わせて脈打つ痛み。
痛む場所
・緊張型頭痛: 後頭部から頭全体。両側が痛むことが多い。
・片頭痛: 頭の片側(両側のこともある)、こめかみ周辺が痛む。
一緒に起こる症状
・緊張型頭痛: ひどい肩こり、首こり、フワフワするようなめまい感。
・片頭痛: 吐き気や嘔吐。光、音、匂いに敏感になり、うるさい場所や明るい場所がつらくなる。
体を動かしたとき
・緊張型頭痛: 体を動かすと血流が良くなり、少し楽になることがある。
・片頭痛: 体を動かすと痛みが増す。動けず寝込んでしまうこともある。
前兆症状
・緊張型頭痛: 特になし。
・片頭痛: 目の前がチカチカする(閃輝暗点)、視野が一部欠けるなどの前兆が出ることがある。
どうでしたか?

「自分は片頭痛(偏頭痛)持ちだ」と思い込んで長年悩んでいる方の多くが、実は首や肩のコリが原因の「緊張型頭痛」であったり、あるいは両方の性質を併せ持つ「混合型頭痛」であることは、吉祥寺で多くの方を診てきた経験からも非常に多いと感じます。
なぜこれほど誤解されやすいのかと言えば、緊張型頭痛であっても痛みが強まると、血管が過敏に反応して片頭痛特有の「ズキズキとした拍動性の痛み」に変わることがあるからです。また、「片側だけが痛むから片頭痛」と考えがちですが、デスクワークの姿勢や噛み合わせの癖で首の筋肉が片方だけ異常に凝っていれば、当然痛みも片側に集中します。
もし、お風呂でゆっくり温まったり、ストレッチをして血流が良くなった時に痛みが少しでも楽になるようなら、その頭痛の正体は血管の拡張ではなく、筋肉の硬直による「緊張型頭痛」である可能性が極めて高いと言えます。
こうした「隠れ緊張型頭痛」に対して、鍼灸は非常に優れた効果を発揮します。指圧やマッサージでは届かない首の深層筋肉に直接アプローチして物理的にコリを解き、圧迫されていた血管を解放することで、脳への血流をスムーズに整えることができるからです。
もちろん「片頭痛」にも自律神経を整えることで痛みの頻度や軽減が期待できます。
「強い痛み=強い薬が必要な片頭痛」と決めつけず、まずはご自身の体が発している「筋肉の悲鳴」に目を向けてみてください。硬くなった筋肉を緩め、乱れた自律神経をリセットすることで、長年手放せなかった鎮痛剤から卒業できる日は決して遠くありません。

