あなたの不調は「不定愁訴」?
「頭痛や肩こりが慢性的に続く」
「体がだるくてやる気が出ない」
「病院で検査しても異常が見つからない」
このように、どこが悪いかハッキリしないのに、様々な不調が続く状態を「不定愁訴(ふていしゅうそ)」といいます。不定愁訴は、現代社会で多くの人が抱える悩みの一つで、精神的なストレスや不規則な生活習慣、環境の変化など、複数の要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
不定愁訴の症状
全身的
全身倦怠感、疲労感、ふらつき、めまい
神経筋骨格系
頭痛、頭重感、首肩こり、腰背部痛、しびれ、手のふるえ
循環器系
のぼせ、動悸、胸痛、胸の苦しさ、手足の冷え、熱感
呼吸器系
呼吸の浅さ、息切れ、息苦しさ、咳
消化器系
食欲不振、口渇、悪心嘔吐、腹痛、胃の不快感、腹部膨満感、便秘、下痢
眼・耳鼻科系
眼精疲労、耳鳴り、のどの詰まり、異物感
皮膚科系
多汗、寝汗、かゆみ、乾燥
泌尿生殖器系
頻尿、排尿困難、勃起障害、月経障害
精神症状
睡眠障害、不安、緊張、焦燥、抑うつ、心気、集中力低下、意欲低下、記銘力低下
不定愁訴の原因
不定愁訴は、ライフスタイル、精神的ストレス、性格、職場、基礎疾患など様々な要因が複雑に絡み合って発症しているといわれています。
もともとの慢性疾患に伴う辛さが心理的負担になり、基礎疾患に関連した症状に不定愁訴が重なる場合もあります。
不定愁訴になりやすい人の特徴
不定愁訴になりやすい人の特徴です。
・真面目で責任感が強い、完璧主義
・几帳面、潔癖症、神経質
・人の目を気にしすぎる
・周囲の人に無理して合わせることが多い
・人前で緊張しやすい
・人付き合いが苦手
・気分転換が下手
・頑固で融通がきかない
・イライラしやすい、怒りっぽい
・感情表現が苦手
不定愁訴は男性より女性のほうが生じやすいといわれております。
女性は月経、妊娠、出産、更年期などにより、ホルモンの分泌が変化しやすく、自律神経の乱れが生じやすいです。また、「結婚か、仕事かの選択」「家庭と仕事の両立」「仕事内容での男女差」などのライフスタイルの変化が男性とは異なったストレスが不定愁訴を生じやすくしています。

東洋医学からみた不定愁訴

東洋医学では、全身の「気・血・津液(水)」の巡りと、
「五臓六腑」のバランスを重要視しており、このバランスが崩れるとあらゆる疾患が現れると考えています。
五臓とは、「肝、心、脾、肺、腎」
六腑とは、「胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦」のことをさします。
不定愁訴は、症状によって人それぞれですが気の滞りや五臓六腑の肝の失調が特徴です。
☆「気」の滞り
気とは、全身を巡り内臓の働きや精神活動を支えており、
ストレスが強いと、気が滞ってしまい「気滞」という状態になります。
気滞になるとイライラしやすかったり、胸やのどがつかえたり、お腹が張ったような痛みなどが特徴ですが、気が滞る場所によって症状は人それぞれ異なります。
☆「肝」の失調
肝の生理機能である「肝は疏泄を主る」という役割は、気の流れを整えて、身体の生理機能が順調に発揮できるようにすることと、精神面をのびやかに活動してくれる作用があります。
鍼灸治療では、気の巡りを整えるツボや肝のツボを刺激することで、滞った「気」の流れをスムーズにし、これらの不調を改善していきます。
東洋医学では、心と体は繋がっていると考えられており、心身のバランスを取り戻すことを目指します。
おすすめのツボ
以下のツボを優しく押したり、円を描くようにマッサージしたりするのも効果的です。指の腹で気持ちいいと感じる程度の力で、5秒ほど押してゆっくり離すのを数回繰り返しましょう。
☆内関(ないかん)
手首のシワから指3本分上、腕の中央にあるツボ。
気持ちを落ち着けてくれるツボです。不安感が強いときにつかいましょう。
☆百会(ひゃくえ)
頭のてっぺん、両耳を結んだ線と顔の中心線が交わる点。
精神的な安定、リラックス効果が高まります。
☆足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下から指4本分下、すねの骨の外側。
消化器系の働きを高め、全身の機能維持に。
☆太衝(たいしょう)
足の甲にあり、親指と人差し指の骨が交わるくぼみにあるツボ。
肝の働きを調整し、ストレスを落ち着けてくれます。

