夜中に激痛!足のつりでお悩みの方へ
「夜中に足が急に攣って激痛で目が覚める」
「スポーツ中に足が攣りやすくなった」
「歩いていると足がつりそうになる」
このような症状に心当たりはありませんか?
「こむら返り」は、ふくらはぎの筋肉が意志とは関係なく痙攣する現象で、医学的には「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」と呼ばれます。多くの人が経験する身近な症状ですが、繰り返す場合は放置せず、原因を探ることが大切です。
繰り返す「こむら返り」は身体からのサインかもしれません
一時的なこむら返りは、激しい運動や脱水が原因であることが多いですが、頻繁に起こる場合は、身体のバランスが崩れているサインかもしれません。
原因
【電解質バランスの乱れ】
汗や尿でナトリウム、カリウム、カルシウムなどのミネラル(電解質)が不足すると、筋肉や神経の働きに支障をきたし、痙攣が起こりやすくなります。
【冷えと血行不良】
体が冷えると血管が収縮し、筋肉への血流が悪くなります。血液は筋肉に酸素や栄養を運び、老廃物を排出する役割があるため、血行不良は筋肉疲労の原因となり、こむら返りを引き起こします。
【筋疲労・運動不足】
激しい運動による筋肉の使いすぎや、逆に運動不足による筋力の低下も、こむら返りの原因となります。
重要な注意点:病気が隠れている可能性も
こむら返りが頻繁に起こる場合、以下のような病気が原因である可能性もあります。
・糖尿病
・肝硬変
・甲状腺機能低下症
・椎間板ヘルニア
・下肢静脈瘤
自己判断はせず、まずは一度、医療機関で検査を受けることをお勧めします。
当院の鍼灸治療は、医療機関での診断と治療を前提としたものです。
東洋医学から見た「こむら返り」:鍵は「肝」と「血」
東洋医学では、こむら返りを単なる筋肉の痙攣とは捉えません。
特に「肝(かん)」と「血(けつ)」の働きが深く関わっていると考えます。
☆「肝血」の不足(肝血虚)
東洋医学でいう「肝」は、血液を貯蔵し、必要に応じて全身に供給する役割を担っています。過労やストレス、睡眠不足により、この「肝」に貯蔵される「肝血」が不足すると、筋肉に十分な栄養が行き渡らず、痙攣が起こりやすくなると考えます。
☆「瘀血」(おけつ)
全身の血の流れが悪くなった状態を「瘀血」と呼びます。体が冷えたり、過労が続いたりすることで「瘀血」が生じると、筋肉への血液供給が妨げられ、こむら返りの原因となります。
このように、こむら返りは「肝」の機能低下や「血」の巡りの悪さなど、全身のバランスが崩れた結果として現れる症状と捉えます。
こむら返りへの鍼灸施術
1.全身の血流と自律神経の調整
まず仰向けで、自律神経を整えるツボに鍼やお灸で刺激を与えます。
これにより、全身の血流が促進、リラックス効果が高まります。
こむら返りの背景にある冷えや疲労、ストレスを根本から和らげます。
2.下肢の血行改善と筋肉の緊張緩和
次にうつ伏せでふくらはぎや太もも、そして下肢に向かう神経や血管が通る腰部や殿部のツボに鍼やお灸を施します。
これにより、筋肉の緊張が和らぎ、血行が促進されます。筋肉の疲労物質の代謝が促され、こむら返りが起こりにくい状態をサポートします。
3.東洋医学的アプローチによる体質改善
当院では、東洋医学的観点から「肝」の働きを補い、「血」の生成を助けるツボも治療に取り入れます。
このように、体の内側からこむら返りが起こりにくい体質へと改善することを目指します。
自宅でできる!こむら返りのセルフケア
鍼灸院での治療や医療機関での指示と合わせて、ご自宅でもできるセルフケアを取り入れることで、こむら返りの症状の軽減や予防を促すことができます。
【痛い時の対処法】
足が攣ってしまったら、まずはゆっくりと筋肉を伸ばしましょう。かかとを前に出し、つま先を頭の方向へゆっくりと引き寄せます。
☆日常生活での予防策
・体を冷やさない
特に足元を冷やさないように、レッグウォーマーや靴下を着用しましょう。お風呂はシャワーだけですまさずに湯船にもつかることが大切です。
・水分補給と食事
水分やミネラル不足にならないよう、こまめな水分補給を心がけましょう。
鶏肉、魚、大豆製品など、血流を良くする食材も積極的に摂りましょう。
・適度な運動
ウォーキングや軽めのストレッチなど、ふくらはぎを意識的に動かすことで、血行を促進し、筋力低下を防ぎます。