パニック障害とは?
パニック障害とは、前触れもなく突然強い不安や恐怖に襲われ、動悸、息切れ、胸の痛み、めまい、吐き気などの身体症状を伴う発作が繰り返し起こる病気です。
「このまま死んでしまうのではないか」「おかしくなってしまうかも」といった強烈な恐怖を感じる方も少なくありません。
初めて発作を経験した後、「また起きたらどうしよう」という不安から外出や電車、仕事中の行動が制限されるようになり、「予期不安」や「広場恐怖」に発展するケースもあります。
症状は見た目では分かりにくく、周囲から理解されにくい点も、苦しみを深めてしまう要因のひとつです。
パニック障害の原因と背景
原因は一つではなく、心と体のバランスの乱れが複雑に絡み合っています。中でも重要なのが「自律神経の乱れ」です。
自律神経は、心拍・呼吸・血圧・消化などを無意識に調整している神経で、ストレスや過労、不眠などが続くことで交感神経が過剰に優位になり、身体が常に“戦闘モード”のような状態に陥ってしまいます。
この緊張状態が長引くと、ちょっとした刺激にも敏感に反応しやすくなり、パニック発作が引き起こされます。
また、過去のトラウマや繊細な性格傾向、体質も関係する場合があります。
西洋医学での治療
現在、病院での治療は主に「薬物療法」と「認知行動療法」が中心です。
抗不安薬や抗うつ薬を用いて神経伝達物質の働きを調整し、症状の軽減を図ります。
発作が起きそうな場面では、頓服薬で対応することもあります。
また、認知行動療法では「不安な場面でも大丈夫」と再学習することで、徐々に予期不安を減らしていきます。
ただし、「薬がないと不安」「副作用がつらい」「根本的に治っていない感じがする」といった声も多く、薬だけに頼らず体質改善や心身のバランスを整えたいと考える方も増えてきました。
東洋医学から見るパニック障害
東洋医学では、パニック障害のような症状は「気(エネルギー)」や「血(けつ)」の巡りが滞り、心身のバランスが崩れた状態と捉えます。
特に以下のような状態が関係すると考えられています
肝気鬱結(かんきうっけつ):ストレスで「気」が滞り、精神が不安定に。
心脾両虚(しんぴりょうきょ):過労や思い悩みにより、心と脾(胃腸系)の機能が低下。
腎虚(じんきょ):生命エネルギーの源である「腎」の弱りが、不安感や驚きやすさにつながる。
気逆(きぎゃく):本来下に流れるべき気が上に逆流し、動悸や息苦しさとして現れる。
つまり、単なる“心の病気”ではなく、全身のエネルギー循環や内臓の働きとも深く関係しているというのが東洋医学の視点です。
当院の鍼灸アプローチ
当院では、「自律神経に特化した全身治療」と「患者様一人ひとりに合わせた施術」を方針としています。パニック障害のように複雑な要因が重なる不調にこそ、全身のバランスを整える施術が有効です。
● 自律神経の調整
心身の緊張が強い方には、交感神経の高ぶりを鎮め、副交感神経を優位にするよう働きかけます。
具体的には【百会(ひゃくえ)】【内関(ないかん)】【神門(しんもん)】【太衝(たいしょう)】など、自律神経や精神安定に関わるツボに鍼を用います。
また、背部や腹部のツボも併用し、全身の血流と気の巡りを促進。全体の調和を図ることで、発作の頻度や不安感の軽減を目指します。
● オーダーメイドの施術
同じ「パニック障害」であっても、症状や背景、感じ方は十人十色です。当院では、初回の丁寧なカウンセリングを通して、体調・性格・生活背景に応じた施術プランを立てます。
その日の体調や心の状態に合わせて刺激の強さを調整することで、「鍼は初めてで怖い」という方でも安心して受けていただけます。
ご自宅でできるセルフケア
施術と併せて、日常生活でも自律神経を整える習慣がとても大切です。
ツボ押し:内関・神門・労宮などは不安感の緩和に効果的です。
深呼吸や腹式呼吸:吐く息を長くするだけでも副交感神経が働きやすくなります。
朝日を浴びる・スマホ時間を減らす・湯船に浸かる:これらも自律神経を整える助けになります。
最後に
パニック障害は「気の持ちよう」で片付けられるものではありません。
心と体のつながりを丁寧に見つめ、バランスを整えていくことが、回復への第一歩です。
当院では、心の不安と身体の不調を両面から支える鍼灸施術をご提供しています。
「薬だけに頼りたくない」「根本的な回復を目指したい」とお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
一人ひとりに寄り添いながら、穏やかな毎日へのサポートをいたします。