耳鳴りとは?
外界から音の刺激がないのに感じる音感を耳鳴りと言います。
血管雑音など体内に音源があり、第三者にも聴取できる他覚的耳鳴(振動性耳鳴)と患者のみ聞こえる自覚的耳鳴(非振動性耳鳴)があるが、他覚的耳鳴は稀である。耳鳴患者の多くは難聴、めまい、耳閉感などの耳疾患を伴い、耳疾患による耳鳴りが多いが、脳血管障害、高・低血圧症、貧血、糖尿病、甲状腺腫などの全身疾患、あるいは自律神経系や精神的な要因などによっても耳鳴は生じます。鍼灸の主な対象としては無難聴性耳鳴であるが、慢性症例で難聴に伴う耳鳴り(メニエール病、突発性難聴、中耳炎後遺症など)あるいは難聴に対症的に鍼灸治療を行い、自覚的な改善が見られることがあります。
無難性耳鳴について
耳鳴りがあるが、聴力検査で聴力障害がないものを言います。
耳鳴りは難聴と同様に、聴覚路の直接的、または間接的な障害により生じると考えられているが、その理由や経緯がまだ明確ではありません。
症状
自覚的な聴力の低下はなく耳鳴りのみ訴えることが多く、耳鳴りの自覚的表現は「キーン」、「ジーン」、「ピー」など多いです。頚部のこりや後頭部の重圧感を伴うことが多く、疲労や睡眠不足、精神的興奮により耳鳴りが悪化することが多いです。
病院での検査と処置
①ピッチマッチ検査
感じている耳鳴りの音に近い周波数を特定する
②ラウンドネス検査
ピッチマッチ検査でわかった周波数で、耳鳴りと感じている音の大きさを評価します
③ストレス度の検査
④MRI
小脳と内耳の間にできる神経腫瘍が原因で起こることがあり、微小なものでも検出できる
⑤CT検査、レントゲン検査
中耳炎や外耳、内耳の奇形や外傷があるか確認する検査
⑥THI(tinnitus handicap inventory)
耳鳴苦痛度の質問票で、耳鳴治療評価のために行われる検査
処置
①薬物療法
② 音響心理学治療
外部から特定の音を一定の方法で聞くことで耳鳴りの苦痛を和らげる治療法
③マスカー療法
耳鳴りのある耳にバンド・ノイズを流し、耳鳴りが消える大きさで聞き耳鳴りを遮断させコントロールする治療法
④TRT療法
サウンドジェネレーターと呼ばれる補聴器のような専用治療器を用いて外部からホワイトノイズを聞くことによって治療する治療法
鍼灸治療について
東洋医学に基づく治療
耳外で音がしていないのにもかかわらず、音を耳内で自覚するものを「耳鳴(じめい)」と言います。
耳鳴では「肝」、「脾胃」、「腎」の4つが関係しています。
・肝が影響している場合
情志の失調により気機が鬱結(エネルギーや血、感情などが体内で滞ってしまい、スムーズに流れなくなった状態)し、それがエネルギーや感情(特に怒り)が過剰に高ぶって熱に変化し、火のように燃え上がる状態になると火には炎上性(上にのぼりやすい性質)があり、清竅(せいきょう 耳、目、鼻など頭部の感覚器官のこと)に影響すると耳鳴りが起こります。
治療穴として用いられるのは、翳風(えいふう)、聴会、侠渓、 中渚、太衝などがあります。
・脾胃が影響している場合
労倦(ろうけん 過労や精神的な疲れによってエネルギーが損なわれ、元気がなくなる状態)や飲食不節により脾胃を損傷すると、気や血の生成が悪くなり、そのため経脈(気や血が流れる通路)の中身がなくなり清竅がうまく栄養されないと耳鳴りが起こります。
治療穴として用いられるのは、翳風、聴会、足三里、中脘、脾兪などがあります。
・腎が影響している場合
腎精不足(腎に蓄えられた生命のエネルギーが不足している状態)には、先天的に不足しているもの、栄養吸収不良によるもの、高齢や慢性疾患によるものなどがあります。髄海(東洋医学でいう「脳」のこと)が空虚になると耳鳴りが起こります。
治療穴で用いられるのは、翳風(えいふう)、聴会、腎兪、関元、太渓などがあります。
西洋医学に基づく治療
局所症状として現れた耳鳴りに対して、主に耳周囲に鍼刺激を行う局所治療と、耳鳴りの随伴症状として現れた不定愁訴の改善を目的にした全身の機能を調節する治療をします。
耳門、聴宮、聴会、翳風、完骨、天柱、風池、天容、玉枕などのツボを使用し、全身治療においては、頭痛や首肩こり、足の冷えなどに対して使用頻度の高いツボを使用します。
当院の鍼灸治療
耳鳴りの治療では、まず自律神経を調節し、内耳の血流改善を目的に施術します。その後に耳周囲、後頭部の圧痛・硬結、筋緊張などの反応のある経穴、反応点に施術をします。
自律神経のバランスを調節することで、耳周囲にする鍼灸治療の治療効果を高めることができます。また、内耳の血流不足を改善するという点から首肩周辺や耳周囲の経穴に鍼を刺して電気を流します。
自律神経を調節することは、耳鳴りの症状を改善していくことには欠かせないことです。
もしあなたが耳鳴りでお悩みなら、一人で抱え込まずに、ぜひ吉祥寺αはりきゅう院にご相談ください。