肋間神経痛とは
肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)は、肋骨の間にある神経が圧迫されることで引き起こされる疼痛(とうつう)の状態を指します。肋間神経は背骨から出て、前方に向かって走行し、胸郭内の筋肉や皮膚に分布しています。
原因
肋間神経痛の原因はさまざまな要因によって引き起こされることがあります。以下に一般的な原因をいくつか挙げますが、個々の症例によって異なる場合があります。
外傷や怪我
肋骨の折れや骨折、打撲、衝撃などの外傷や怪我によって、肋間神経が圧迫されることがあります。
筋肉の緊張やけいれん
背中や胸の筋肉の緊張やけいれんが起きると、肋間神経が圧迫され、痛みを引き起こすことがあります。悪姿勢や長時間の同じ姿勢、過度の運動や労働、ストレスなどが筋肉の緊張を引き起こす可能性があります。
神経障害
脊椎の異常や神経の圧迫によって肋間神経に障害が生じる場合、肋間神経痛が発生することがあります。脊椎のヘルニア、脊柱管狭窄症、神経根の圧迫などが原因となることがあります。
感染や炎症
肋間神経の周囲に感染や炎症が生じると、神経が刺激されて痛みを引き起こすことがあります。帯状疱疹(しんそうぼうしん)、肋間神経炎などがこのような状態を引き起こす原因となることがあります。
その他の病態:内臓の疾患や病態が肋間神経痛を引き起こすこともあります。例えば、胃潰瘍、胆嚢炎、心筋梗塞などが痛みを肋間神経に放散させる場合があります。
以上が一般的な肋間神経痛の原因ですが、症状や痛みの具体的な場所によって原因は異なる場合があります。
症状
肋間神経痛は、胸部や背中の特定の領域での痛みが主な症状です。以下に一般的な肋間神経痛の症状をいくつか挙げますが、個々の症例によって症状は異なる場合があります。
鋭い痛みや刺すような痛み
間神経痛は通常、胸骨と脊椎の間の特定の領域で感じられる痛みです。痛みは鋭く、刺すような性格を持つことがあります。痛みの程度は個人によって異なります。
痛みの放散
肋間神経痛は、痛みが感じられる領域から他の部位に放散することがあります。例えば、胸部から腹部や背中にかけての広い範囲にわたって痛みが広がることがあります。
悪化の要因
肋間神経痛の症状は、特定の動作や身体的な活動によって悪化することがあります。深呼吸や咳、くしゃみ、くるぶしの動きなどが痛みを増強させる要因となることがあります。
過敏な皮膚
痛む領域の皮膚が過敏になり、触れるだけでも痛みを感じることがあります。この症状は「皮膚のハイパーセンシティビティ」とも呼ばれます。
しびれ
肋間神経痛の場合、痛みとともにしびれや痺れを感じることもあります。この症状は肋間神経の圧迫や神経障害に関連している可能性があります。
慢性化
肋間神経痛は一過性の症状として現れることもありますが、一部の場合では痛みが長期間続く慢性的な状態となることもあります。
肋間神経痛の症状は、他の疾患や病態と重なることもあります。
肋間神経痛に鍼灸は効果的なのか
肋間神経痛の治療には、鍼灸が一部の患者にとって有効な補完療法となる場合があります。以下に、鍼灸が肋間神経痛に対してもたらす可能性のある効果を説明します。
痛みの軽減
鍼灸は痛みを軽減する効果があります。鍼灸によって経絡(けいらく)の流れが改善され、筋肉の緊張が緩和されることで、肋間神経の圧迫や刺激が減少し、痛みが軽減される可能性があります。
筋肉の緊張緩和
肋間神経痛は筋肉の緊張やけいれんが関与することがあります。鍼灸によって筋肉の緊張が緩和され、筋肉のバランスや調整が促されることで、肋間神経痛の症状が改善する可能性があります。
炎症の抑制
鍼灸は炎症を抑制する効果もあります。肋間神経痛の原因の一つとして、周囲の組織の炎症が考えられる場合があります。鍼灸によって炎症反応が緩和され、炎症による神経への刺激が軽減されることで、肋間神経痛の症状が改善する可能性があります。
神経の調節
鍼灸は神経系の調整にも効果があります。肋間神経痛は神経の圧迫や神経の異常によって引き起こされることがあります。鍼灸によって神経系のバランスや調整が促され、肋間神経の機能が正常化されることで症状の改善が見られる可能性があります。
ただし、個々の症例によって鍼灸の効果や適応は異なる場合があります。
当院の肋間神経痛に対する鍼灸施術
肋間神経痛においては、鍼灸によって特定の経穴(ツボ)を刺激することがあります。以下に、肋間神経痛に対して効果的とされるいくつかの経穴を紹介します。
合谷(ごうこく)
腕の内側、手首から親指と示指の間のくぼみを指すツボです。
肋間神経痛の痛みを軽減する効果があります。
魚際(ぎょさい)
手の甲、親指の付け根にあるツボです。
肋間神経痛の痛みや緊張を緩和するために刺激されることがあります。
期門(きもん)
腕の外側、肘のくぼみの内側にあるツボです。
肋間神経痛に対して痛みの軽減や筋肉の緊張緩和を促すとされています。
肺兪(はいゆ)
背中、肩甲骨の内側にあるツボです。
肋間神経痛において筋肉の緊張緩和や神経の調整に役立つとされています。
膈兪(かくゆ)
胸骨の下、胸骨と腹部の間のくぼみにあるツボです。
肋間神経痛に対して痛みの軽減や呼吸の改善に効果があるとされています。
これらの経穴は一部であり、鍼灸師は症状と個人の状態に基づいて適切な経穴を選択します。