不安神経症とは

不安神経症（ふあんしんけいしょう）は、精神医学的な用語で、一般的に不安や恐怖が支配的な症状を特徴とする心の状態を指します。不安神経症は、一般的にさまざまな不安障害の中に含まれるカテゴリーであり、以下のような症状を引き起こすことがあります。

パニック障害（パニック発作）

突然の強い恐怖感や不安感を伴う発作を特徴とします。心拍数の増加、呼吸困難、手の震え、めまい、胸の痛みなどの身体的症状も現れることがあります。

社交不安障害（社交恐怖症）

社交場面での恐怖や不安感が特徴であり、他人との交流や公の場でのパフォーマンスに関連する症状が現れます。自己否定的な思考や回避行動が見られることもあります。

一般性不安障害（過剰な心配）

日常生活で持続的な不安や心配が続く状態を特徴とします。日常の小さな出来事についても異常な心配や不安が生じ、身体的な症状（緊張、イライラ、集中力低下など）を伴うことがあります。

強迫性障害

強迫的な思考（不安を引き起こす繰り返しの思い込みや恐怖）や強迫的な行動（繰り返し行われる規則的な行動や儀式）が特徴です。これらの思考や行動は、個人の日常生活において妨げとなるほど時間を費やすことがあります。

不安神経症の原因

不安神経症の原因は、複数の要素が組み合わさることで発症すると考えられています。以下に一般的な原因要素を挙げます。

1. 遺伝的要因:
→遺伝的素因は、不安神経症の発症に関与する可能性があります。家族歴や遺伝的な傾向がある場合、個人が不安神経症を発症するリスクが高くなることがあります。

2. 脳化学の異常:
→不安神経症の人々の脳内では、神経伝達物質（セロトニンやノルアドレナリンなど）のバランスが崩れていることが示唆されています。脳内の化学物質の異常が不安症状を引き起こす可能性があります。

3. 生物学的要因:
→生物学的な変化や生理的な要素も不安神経症の原因として関与しています。身体的な疾患やホルモンの変化、脳の構造や機能の異常などが影響を及ぼすことがあります。

4. 環境要因:
→不安神経症は、ストレスや環境の要因によって誘発されることがあります。過去のトラウマ、生活の変化、仕事や学校の圧力、人間関係の問題などが不安神経症の発症に関与する可能性があります。

5. 学習や行動のパターン:
→不安神経症は、学習や行動のパターンによっても引き起こされることがあります。過去の経験や環境に基づいて、不安や恐怖が増幅される傾向がある場合、不安神経症が発症する可能性が高くなります。

不安神経症の治療法

以下に一般的な治療法のいくつかを紹介します。

1. 心理療法
→心理療法は不安神経症の治療において主要なアプローチです。認知行動療法（CBT）や対人関係療法などの心理療法は、不安や恐怖に関連する思考や行動パターンを変えるために使用されます。個人の不安の原因やトリガーを特定し、健康な対処方法や認識の仕方を学ぶことで、不安を管理するスキルを身につけることが目指されます。

2. 薬物療法
→薬物療法は、不安神経症の症状の軽減や管理に役立つ場合があります。一般的には、抗不安薬（抗焦虑薬）や抗うつ薬が処方されることがあります。

3. マインドフルネスやリラクゼーション法
→不安を軽減するための自己ケアの手段として有効です。瞑想、深呼吸、プログレッシブ・マッスル・リラクセーション（筋肉の緊張をゆるめる方法）など、ストレスを緩和し、リラックスを促進する方法があります。

4. ライフスタイルの変更
→健康的なライフスタイルは不安神経症の管理に役立ちます。十分な睡眠をとる、バランスの取れた食事を摂る、適度な運動を行うなどの健康習慣が重要です。また、ストレスを管理するために時間を作り、リラックスや趣味に取り組むことも大切です。

不安神経症と鍼灸

不安神経症に対して鍼灸が高い効果を発揮します。
当院では主に以下施術を行います。

自律神経の調整

鍼灸は自律神経系のバランスを整える効果があるとされています。不安神経症では、交感神経が過剰に活発になり、副交感神経の働きが低下していることがあります。鍼灸はこのバランスを調整し、リラックス効果をもたらすと考えられています。

ストレス応答の軽減

鍼灸はストレス応答を軽減する効果があるとされています。ストレスは不安症状を悪化させる要因の一つであり、鍼灸によるリラクゼーション効果が不安を軽減する可能性があります。

ホルモンの調整

鍼灸はホルモンのバランスを調整する作用があると考えられています。不安神経症にはホルモンの異常が関与していることがあり、鍼灸によるホルモン調整が不安症状の緩和につながるとされています。