飛蚊症とは
飛蚊症とは、モノを見ているときに小さな糸くずや虫のような浮遊物が見える状態のことです。
浮遊物の大きさや形状、数はさまざまあり、中でもご高齢の方や近視が強い方は症状を自覚しやすいです。
飛蚊症の原因
飛蚊症の正体は、硝子体の濁りです。眼球の内側には硝子体という組織があり、その大半は無色透明のゼリー状の物質で満たされています。
人はモノを見るとき、モノの形や色を光として捉えます。
光が角膜、水晶体を通して、硝子体を経由し、網膜上に像を結ぶことによって画像として映し出されます。
その映し出された画像情報が適切に脳に伝達されることによって、私たちはモノが見えていると感じることができます。
本来透明である硝子体は、加齢などの原因により徐々に濁りが生じます。その濁りが網膜に影を落とすことによって、糸くずや虫、たばこの煙のような繊維状の浮遊物が目の前を飛んでいるように見えるというわけです。
東洋医学的には
東洋医学では、目は肝の関係領域であり、肝血によって滋養されることにより、その機能を発揮します。
また、精は随海(脳)を滋養し、随海が滋養されることによって、五官はその機能を十分に発揮することができます。
過労・飲食不節・出産・手術などによって精血を損傷し、肝血虚・腎精不足となり、目を滋養できなくなると、飛蚊症が起きやすくなります。
また、精虚・血虚から陰虚へと進行し、内熱・内燥が生じると、眼の疲れに留まらず、目赤や目渋(目のかすみ)が起こるようになります。
肝血虚とは
過労、慢性の出血、月経過多、出産、手術などにより血を損傷したり、飲食不節や運化機能の失調により精血の生成が不足することによって、肝血が不足し、目を滋養することができなくなると飛蚊症などの眼に関わる疾患が起こりやすくなります。
肝血の不足より、筋のけいれんやしびれを伴いやすく、爪や唇や眼瞼結膜が淡白色になりやすいです。
血虚のために心神を滋養することができないと、中途覚醒や多夢といった睡眠の異常がみられることもあります。
肝腎陰虚とは
肝腎陰虚は、腎陰虚と肝陰虚が同時に現れる病証です。
長期にわたるストレス、過労、加齢などが原因となり起こります。
肝腎陰虚による飛蚊症は、陰虚により生じた内熱・内燥による目赤、目渋、目の乾燥感などの症状を伴いやすいです。目のかすみ、筋のしびれ、めまい、耳鳴り、腰膝酸軟(腰や膝のだるさ)などの症状を伴いやすく、さらに五心煩熱(手足、心のほてり)、盗汗、口や咽頭の乾き、頬部の紅潮といった陰虚症状を伴いやすいです。
東洋医学に基づく生活指導
目に負担のかかる状況を避ける
目に負担がかかる状況として、室内が暗い、長時間や近距離での目視、また、空調による乾燥などがあげられます。
照明やエアコンなどに配慮し、PCやスマートフォンを使用するときはこまめに休憩をはさむよう意識付けが大切です。
過労、睡眠不足を避ける
過労、睡眠不足は陰液の損傷を招くため、適度な休養と睡眠を心がけましょう。
食事に気を配る
飲食不節は陰液の生成不足を招くため、偏食や少食を避け、食事に気を配るようにしましょう。
飛蚊症に効くツボ
・晴明
両方の眉頭付近にあります。眼精疲労にも効果があり押されると気持ちよいところです。
・四白
瞳孔線上で頬の上にあります。眼輪筋上にあるので目の周りの血流がよくなります。
・合谷
手の背側で第2中手骨の真ん中にあります。万能のツボをいわれており、押すとズーンと響きやすいです。
目だけでなく顔面の疾患にもつかわれます。
・光明
足の外側で腓骨の前方、外くるぶしの上方5寸のところにあります。
足の厥陰肝経にあり、肝の慢性疾患によくつかわれるツボです。