耳鳴りとは
耳鳴りとは、実際に音が鳴っていないのに耳や頭の中で、異音・雑音が聞こえるようになる現象のことを言います。
多くの方が悩まれている症状の一つとなります。
代表的な音としては、キーン・ザー・ゴー・ジー・ブーンなどです。
軽症の場合、ストレスや疲れがたまったときに現れます。
重度の場合、ほかの音が聞こえない、精神的につらくなるなどの症状が現れることもあります。
原因
耳鳴りが起こる原因はいろいろとあり
突発性難聴・メニエール病・聴神経腫瘍・中耳炎などの疾患によるものや
加齢・ストレス・睡眠不足・疲労・騒音の中で作業をしている、などでもおこります。
4月5月は多くの方が環境の変化を感じるときでありストレスや疲労が溜まりやすい時期です。
この時期に耳鳴りが出やすい方が多くおられるので日頃からの身体のケアが重要になってきます。
耳鳴りの種類
耳鳴りにも種類があります。
①聴力の低下を伴う耳鳴り
突発性難聴・内耳炎・メニエール病などが原因で起こると言われています。
②聴力低下を伴わない耳鳴り
精神的・肉体的疲労や睡眠不足により起こるもの
貧血や高血圧症などに続発して起こるもの
うつ病・不安神経症によるもの などがあります。
耳鳴りに効く薬は今のところ無いようですので
耳鳴りの原因を突き止め元となる疾患の治療を行い回復を図りましょう。
東洋医学から診る耳鳴り
東洋医学からみると
「耳」は五臓のうち「腎」と深いかかわりがあります。
腎は、生命エネルギーの源である精を蔵して、発育・成長・老化を司り
その良し悪しが耳に関係するとされています。
そのため加齢にともない精が減ると耳鳴りが出やすくなるのです。
突発的に起こる耳鳴りでは、五臓のうち「肝」と深いかかわりがあります。
精神的緊張や強いストレス、怒りなどにより肝の動きがスムーズに流れなくなると
頭や顔面部に炎症が生じ、耳鳴りが起きやすくなります。
突発的に始まりストレスを感じると悪化するのが特徴です。
上記のことより、東洋医学から診る耳鳴りは
「腎の気の不足」「肝の気の高ぶり」によって引き起こされると言われています。
東洋医学から診る症
〇肝火上炎(かんかじょうえん)
肝気が鬱結し火となり、上に上がり炎症を起こすことを言います。
精神ストレスにより、雷や鐘の音のような急な耳鳴りや、
情緒の変化で悪化したりめまいを伴うこともあります。
頭痛・高血圧・目の充血・頭皮のむくみなどがある方によくみられます。
ストレスにより熱が生じて自律神経の働きが乱れ耳鳴りの症状を引き起こします。
〇気血両虚(きけつりょうきょ)
気虚と血虚の両方を兼ねた状態をいいます。
気虚では全身の機能や活動が減退し
血虚では血の前市委を回る作用が失われます。
過労や胃腸虚弱、栄養失調、出産などにより体の基本となる気血が不足すると
血管内をめぐる物質がなくなるため、頭部の栄養状態が悪くなり
耳鳴りや、頭痛を引き起こします。
〇腎精不足(じんせいぶそく)
腎の力が体内で不足していることを言います。
腎は、発育成長・生殖活動・水分代謝などを司り、耳にも関連してきます。
加齢や過労などにより腎の働きが弱ってくると脳髄が衰えることで耳鳴りを引き起こしやすくなります。
老化だけでなく虚弱体質の方が無理をすることでも腎を痛めます。
耳鳴りの鍼灸治療
鍼灸治療では、耳に関係する臓腑の働きや、耳に絡んでいる経絡(気血の通り道)の流れを整えていきます。
耳周りには重要なツボが多くあり、それらを刺激することできょくしょの血流を改善していきます。
局所だけでなく遠隔治療も行います。
関連する経絡は手足にも巡るので手足にも鍼刺激を与えることで効果を高めていきます。
使用する主なツボ
・耳門(じもん)・聴宮(ちょうきゅう)・聴会(ちょうえ)
・翳風(えいふう)・角孫(かくそん)
鍼灸治療では、体内を巡る気血の調整や内臓の調整、臓腑の関連性をみながら
お一人お一人にあった刺激量の治療を行っていきます。
しかし、疲労やストレス、睡眠不足により耳鳴りは引き起こされることが多いので、
治療だけでなく日常生活でのケアも大事になってきます。
過労やストレスを感じることをなるべく避ける、
適度な運動やストレッチ、睡眠をしっかりとる
自分なりのリラックス法を見つける
など、日頃からのケアも行っていきましょう!