更年期障害とは

更年期障害（こうねんきしょうがい）とは、女性が中年期から閉経期にかけて経験する身体的および精神的な変化や症状の総称です。一般的に、更年期は40歳から55歳の間に起こりますが、個人によって異なる場合もあります。

原因

更年期障害の主な原因は、女性の卵巣の機能の低下と、卵巣からの女性ホルモンの分泌量の減少です。具体的には、以下の要因が関与しています。

卵巣の機能の低下: 更年期には、女性の卵巣の機能が徐々に低下していきます。卵巣はエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンを生成しますが、更年期になると卵巣の機能が衰え、ホルモンの分泌量が減少します。

卵巣の卵胞数の減少: 更年期には、卵巣内の卵胞（卵子を含む小さな嚢）の数が減少します。このため、卵胞からのエストロゲンの産生が減少し、更年期障害の症状が現れます。

ホルモンの変動: 更年期になると、女性のホルモンバランスが不安定になります。エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が一定ではなくなり、ホルモンの変動が更年期障害の症状を引き起こす可能性があります。

これらの要因によって、更年期障害の症状が引き起こされます。女性の更年期は個人差があり、一部の人は軽度の症状しか経験しない一方、他の人は重度の症状に苦しむことがあります。

症状

更年期障害の症状は個人によって異なる場合がありますが、以下に一般的な症状をいくつか挙げます。

ホットフラッシュ（ほてり）: 突然の身体の熱感や発汗を伴う症状です。顔や首、胸などの上半身が赤くなり、時には全身に広がることもあります。

夜汗: 夜間に突然の多汗症を伴う症状で、寝汗をかくことがあります。これにより睡眠の質が低下することがあります。

不規則な月経: 更年期になると、月経（生理）の周期が不規則になります。月経が長くなったり、間隔が短くなったりすることがあります。また、月経の量や質も変化することがあります。

精神的な症状: 更年期には、イライラや不安、抑うつなどの精神的な症状が現れることがあります。集中力や記憶力の低下、睡眠障害（不眠症や早朝覚醒など）も報告されています。

身体的な変化: 更年期には、乳房の萎縮や膣の乾燥、性欲の低下などの身体的な変化が起こることがあります。また、関節や筋肉の痛み、頭痛、めまいなども報告されています。

これらの症状は、更年期のホルモン変動に関連しており、個々の女性によって程度や頻度が異なることがあります。

更年期障害と鍼灸

鍼灸は、伝統的な中国医学の一部であり、身体のバランスを整えるために使用される治療法です。更年期障害の症状の緩和に鍼灸が役立つ場合があります。

鍼灸は、特定の経絡（経絡は身体のエネルギーフローを通るとされる経路）やツボに鍼を刺激することで、身体のエネルギーバランスを調整し、自然治癒力を促進すると考えられています。

更年期障害に対して鍼灸が有効なとされる点は、以下のようなものがあります。

ホットフラッシュや寝汗の軽減

鍼灸は、自律神経の調整に働きかけることができ、ホットフラッシュや夜汗といった更年期障害の代表的な症状を軽減する効果があるとされています。

精神的な症状の改善

ストレスを緩和し、精神的なリラックスを促すことができます。更年期障害に伴うイライラや不安、抑うつといった症状の改善に役立つ場合があります。

ホルモンバランスの調節

鍼灸は、内分泌系の調整にも効果があるとされています。更年期障害におけるホルモンの変動を緩和し、ホルモンバランスを整える効果が期待されます。

ただし、鍼灸の効果や適応は個人差があります。

当院の更年期障害に対する鍼灸施術

経穴（けいけつ）は、鍼灸や伝統的な中国医学で使用される特定のポイントやエネルギーの集中地です。更年期障害の症状を緩和するために、いくつかの経穴が鍼灸治療で使用されることがあります。

以下に、一部の経穴を挙げますが、これらは一般的な情報であり、個人の状態や症状に合わせて鍼灸師が選定する必要があります。

内関（ないかん）: 足の内くるぶしの骨の内側にある経穴です。更年期障害に伴うホットフラッシュや夜汗の緩和に効果があるとされています。

陰陵泉（いんりょうせん）: 足の裏側、内側の踵の上にある経穴です。更年期障害に伴う不眠症やイライラを和らげる効果が期待されます。

太衝（たいしょう）: 手の甲のくるぶしの付け根にある経穴です。更年期障害に伴う不安や心配、イライラを緩和する効果があるとされています。

神門（しんもん）: 手首の内側、手のひら側にある経穴です。更年期障害に伴うホットフラッシュや夜汗、イライラを緩和するために使用されることがあります。

これらの経穴は、鍼や指圧などの刺激を通じて、身体のエネルギーフローを調整し、症状の緩和を促すとされています。