嗅覚障害とは?
においの感覚(嗅覚)は、
空気中のにおい分子が、鼻と脳との間にある嗅細胞(嗅神経細胞)を刺激して、
前頭部(脳の前方)にある嗅覚中枢に伝わることで起こります。
嗅覚障害は、このにおいの感覚(嗅覚)が弱くなる、もしくはにおいを全く感じなくなる状態です。
嗅覚障害ってなんで起こるの?
これらの要因が、嗅覚を感知する器官や神経に直接的あるいは間接的に影響を与え、嗅覚障害を引き起こすことがあります。
【上気道感染症や鼻の問題】
鼻腔内の炎症や鼻づまり、鼻腔内のポリープ、副鼻腔炎、または鼻粘膜の損傷によって嗅覚障害が引き起こされることがあります。
これらの問題は、嗅覚を感知する嗅細胞や神経に影響を及ぼすことがあります。
【外傷】
頭部や顔面の外傷によって嗅神経が損傷を受けたり、鼻腔内の構造が変化することで嗅覚障害が起こることがあります。
【神経障害や神経変性疾患】
特定の神経障害や神経変性疾患(例えば、パーキンソン病やアルツハイマー病など)は、嗅覚障害を引き起こす可能性があります。
【化学物質の曝露】
有害な化学物質や薬品にさらされたことにより、嗅覚障害が発生することがあります。
これは、鼻腔内の組織や神経に影響を及ぼすことで嗅覚が損なわれることが原因です。
【加齢】
年齢とともに嗅覚の感度が低下することがあり、一部の人々では加齢による嗅覚障害が起こることがあります。
障害部位別の分類
①気導性嗅覚障害:嗅上皮までの気流障害
慢性副鼻腔炎などによる鼻粘膜の腫脹による鼻閉や鼻汁、鼻ポリープなどの
ために臭い分子が嗅神経まで到達できず嗅神経に結合できない
②嗅神経性嗅覚障害:感冒後の嗅細胞の障害や 外傷による嗅神経の断裂など
風邪ウイルス感染や薬物によっておこるもので、臭い物質が嗅神経 に結合するがその神経自体の障害や、頭部外傷時に生じる嗅神経の断裂など のためににおわない
③中枢性嗅覚障害:外傷、腫瘍や変性疾患による 嗅覚中枢の障害
外傷や腫瘍などによる頭蓋内病変、アルツハイマー病、パーキンソン病など
のために嗅球から前頭葉の頭蓋内の嗅覚中枢の障害により起こる
嗅覚障害の治療
【慢性副鼻腔炎】
薬物療法 ステロイド点鼻とマクロライド療法
内視鏡下鼻内手術 難治例や鼻ポリープの場合
【感冒後嗅覚障害】
薬物療法:当帰芍薬散、亜鉛、ビタミンB12
【外傷性嗅覚障】
薬物療法:当帰芍薬散、亜鉛、ビタミンB12
【その他の嗅覚障害】
原因不明のものはステロイド点鼻
中枢性のものは原疾患治療
嗅覚障害の自宅で出来るセルフケア
【鼻を清潔に保つ】
日常的な鼻洗浄や塩水を用いた鼻洗浄、温湿布を使った蒸気吸入などを行い、鼻腔内の清潔を保ちます。これにより、鼻づまりや異物が取り除かれ、嗅覚障害の症状を軽減することができます。
【健康的な食生活】
バランスの取れた食事を摂取し、ビタミンやミネラルを含む食品を適切に摂取することが重要です。
特に亜鉛やビタミンAなどは嗅覚に関連する栄養素です。
【ストレス管理】
ストレスが嗅覚にも影響を与えることがあります。
リラクゼーション法やストレス軽減のテクニック(瞑想、ヨガ、深呼吸など)を試して、ストレスを軽減させましょう。
【香りの訓練】
一部の場合には、香りの訓練が役立つことがあります。
これは、定期的に特定の香りを嗅ぐことで嗅覚を刺激し、回復を助けるトレーニングです。
【安全対策】
嗅覚障害の場合、食品の新鮮さや匂いによる危険の認識が難しくなることがあります。
安全のために食品の賞味期限やガス漏れなどには特に注意しましょう。
嗅覚障害の東洋医学的な診方
【気の乱れ】
東洋医学では、「気」が体内を流れると考えられています。気の流れが滞ることによって、鼻腔や嗅覚に関連する組織に影響が出るとされます。
たとえば、気の滞りが鼻腔内の炎症や鼻づまりを引き起こし、嗅覚に影響を与えると考えられています。
【湿邪や痰の影響】
東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」や「痰(たん)」といった概念があり、これらが体内に滞ることで嗅覚障害が起こるとされます。
湿邪や痰は通常、不健康な食生活や環境、気候の影響によって生じると考えられています。
【臓腑のバランスの乱れ】
東洋医学では、臓腑(諸臓、五臓六腑)という臓器や系統に対応する概念があります。
例えば、肺や脾臓といった臓器が嗅覚に関連付けられることがあり、これらの臓器のバランスの乱れが嗅覚障害につながるとされます。
嗅覚障害の鍼灸治療
当院では、第一に鍼灸治療を施すことにより全身の調整を図り、自律神経のバランスを整えます。
施術をする前に自律神経測定器を用いてその時の自律神経の状態を把握してから施術に活かしていきます。
そうすることで的確な施術ができて、他にはない施術効果が期待できます。
【気の調整】
東洋医学における「気」の流れやバランスが重要視されます。
鍼灸は、気の流れを整えることによって体内のバランスを取り戻すと考えられています。
嗅覚障害に関連する鼻腔や嗅覚器官周辺の気の滞りを取り除くため、特定の鍼灸ポイントを刺激することが効果的とされます。
【血液循環の促進】
鍼灸による刺激は血液循環を促進し、組織に酸素や栄養を供給する助けとなります。
これにより、鼻腔や嗅覚器官の機能が改善され、嗅覚障害の症状が軽減されるとされています。
【神経調整】
特定の鍼灸ポイントを刺激することで、神経系の活性化や調整が行われると考えられます。
嗅覚障害に対して、神経の伝達を改善し、嗅覚器官の感度や機能を回復させる効果が期待されます。
【炎症や鼻腔の問題へのアプローチ】
鍼灸は炎症や鼻腔内の問題に対しても効果を発揮するとされています。
特定の鍼灸技術やポイントの刺激により、鼻腔内の炎症を和らげたり、鼻づまりを改善することが期待されます。