線維筋痛症とは
線維筋痛症(せんいきんしんしょう)は、慢性的な全身性の疼痛や筋肉のこわばり、疲労感、睡眠障害などを特徴とする病気です。具体的な原因は不明ですが、神経系の異常や脳の痛み処理の障害、筋肉や結合組織の異常が関与していると考えられています。
症状
線維筋痛症の症状は多岐にわたりますが、以下に一般的な症状のいくつかを挙げます。なお、線維筋痛症の症状は個人によって異なる場合があります。
全身の疼痛: 線維筋痛症の特徴的な症状であり、体のさまざまな部位に広がる痛みを伴います。筋肉や関節、筋膜などが痛むことがあります。痛みは長期間にわたって持続し、日常の活動や運動に影響を与えることがあります。
疲労感: 線維筋痛症の患者さまは、持続的な疲労感や体のだるさを感じることがあります。充分な休息をとっても疲れが取れにくいと感じることがあります。
睡眠障害: 睡眠の質が低下し、十分な休息を得られないことがあります。眠りが浅くなり、頻繁に目覚めたり、朝起きたときに疲れた感じが残ることがあります。
不定愁訴: 頭痛、頭重感、めまい、胃腸の不快感、うつ症状、不眠、集中力の低下など、さまざまな身体的な不定愁訴を伴うことがあります。
運動障害: 筋肉のこわばりや関節の可動域の制限、筋力の低下などがみられることがあります。長時間の運動や重いものの持ち上げが難しくなる場合もあります。
心理的な症状: 不安感、うつ症状、集中力の低下、記憶力の低下などの心理的な症状が現れることがあります。
これらの症状が線維筋痛症の特徴とされていますが、個人によって経験する症状やその程度は異なる場合があります。
線維筋痛症と鍼灸治療
線維筋痛症の鍼灸治療は、痛みの緩和や症状の管理を目指すために利用されることがあります。鍼灸は、経絡(けいらく)と呼ばれるエネルギーパスウェイを刺激することで、体のバランスを調整し、自然治癒力を高めるとされています。
線維筋痛症に対する鍼灸治療では、以下のようなアプローチが取られることがあります:
痛みの緩和:鍼灸による経絡の刺激は、痛みを和らげる効果があるとされています。特に、線維筋痛症の特徴である全身の疼痛を軽減するために、痛みの強い部位や筋肉のトリガーポイントに鍼を刺すことが行われる場合があります。
筋肉の緊張緩和:線維筋痛症では筋肉のこわばりや緊張がみられることがあります。鍼灸は筋肉の緊張を和らげ、柔軟性を改善する効果があるとされています。
睡眠の改善:線維筋痛症の患者は睡眠障害を抱えることがあります。鍼灸は神経の調整を促進し、睡眠の質を改善する効果が期待されています。
ストレスの軽減:線維筋痛症の症状はストレスと密接に関連していることがあります。鍼灸はリラクゼーション効果があり、ストレスの軽減や心の安定に役立つとされています。
ただし、個々の症状や体質に応じて鍼灸治療のアプローチは異なる場合があります。
当院の線維筋痛症に対する鍼灸治療
線維筋痛症の鍼灸治療において、経穴(けいけつ)の選択は個人によって異なる場合があります。以下に一般的に関連があるとされる経穴のいくつかを紹介します。
足三里(あしさんり):足の前脛骨筋の下に位置する経穴で、免疫システムの強化や疼痛の緩和に関与しているとされています。
太衝(たいしょう):足の内くるぶしの骨の内側に位置する経穴で、睡眠障害や疲労感の改善に関与しているとされています。
外膝眼(がいしつがん):膝の外側、下脚骨の上部に位置する経穴で、筋肉の緊張や痛みの軽減に関与しているとされています。
百会(ひゃくえ):頭頂部に位置する経穴で、ストレスの軽減や神経系の調整に関与しているとされています。
曲池(きょくち):肘の外側のくぼみに位置する経穴で、免疫システムの調整や疼痛の緩和に関与しているとされています。
これらの経穴は一般的な例であり、鍼灸師は患者の症状や体質に応じて経穴の選択を行います。また、経穴だけでなく、全身のバランスを調整するために複数の経穴を組み合わせて治療が行われることもあります。